ドル/円相場は、100~101円のレンジまで値位置を切り下げる展開になっている。5月22日に一時103.74円までドル高・円安が進行するも、その後は日経平均株価の調整局面入りと連動して、ドル買い・円売りポジションの解消圧力が強くなっている。これまでの日本株買い・円売りポジションが整理を迫られている模様だ。引き続き、株価動向が注目される地合になる。
もっとも、株価は短期的には不安定な値動きが続く見通しである。特に株価急落を招くような材料はないが、米国の量的緩和政策縮小に伴う景気減速リスクもクローズアップされる中、改めてリスク投資を拡大するような動きは限定されている。ただ、最近のポジション解消で日本株の過熱感はかなり解消されており、今後は反転の機会を窺うステージになるだろう。日本銀行は5月29日、国債買い入れオペの調整で長期金利の乱高下に対応を講じる方針を示すなど、異例な金融緩和による混乱状況への対応を着実に進めている。5日に安倍首相が発表する成長戦略第3弾や、7日の米5月雇用統計などをきっかけに、再びリスク投資拡大の動きが見られれば、それと連動する形で円売り圧力も再開されると見ている。
金融市場全体が不安定な地合になっているが、異例な緩和政策の縮小する日本銀行と、緩和政策の出口戦略を模索し始める米連邦準備制度理事会(FRB)の政策スタンスの違いは明らかである。このため、リスク投資の地合さえ安定化に向かえば、改めてドル買い円売り圧力が強まると見ている。改めてドル/円相場の底固さが試されよう。
今後1週間の予想レンジは、99.50~101.50円。